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公務員の退職金計算方法|定年延長と早期退職の損得を独自シミュレーション

educarelog編集部
公開: 2026年2月5日
更新: 2026年2月5日
公務員の退職金計算方法|定年延長と早期退職の損得を独自シミュレーション

公務員の退職金はいくら?複雑な計算式、特に「調整額」の仕組みを徹底解説。定年延長と早期退職、どちらが得か具体的なモデルケースでシミュレーション。あなたのライフプランに合わせた最適な選択をサポートします。

「公務員の退職金って、結局いくらもらえるの?」 「定年延長すると退職金は増えるって聞くけど、本当にお得なの?」

公務員としてのキャリアを考える上で、退職金は非常に重要な要素です。しかし、その計算方法は複雑で、特に「調整額」という項目については、多くの人が疑問を抱いています。

この記事では、公務員の退職金制度の基本から、これまでブラックボックスとされてきた「調整額」の仕組み、そしてキャリアプランの大きな選択肢である「定年延長」と「早期退職」の損得まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。

この記事を読めばわかること

- 公務員の退職金の平均額と制度の全体像 - 複雑な退職金計算式(特に「調整額」)の具体的な仕組み - 定年延長と早期退職、どちらが金銭的に有利かの徹底比較 - あなた自身の退職金を概算し、将来のライフプランを立てるヒント

一般的な情報だけでなく、具体的なシミュレーションを通じて、あなたの疑問や不安を解消し、将来設計の一助となることを目指します。

公務員の退職金制度|平均額と基本構造

まず、公務員の退職金がどの程度の金額になるのか、全体像を把握しましょう。退職金は正式には「退職手当」と呼ばれ、国家公務員と地方公務員でそれぞれ根拠法や条例が定められています。

国家公務員・地方公務員の平均退職金額

定年まで勤め上げた場合、退職金の目安は約2,100万〜2,200万円です。

▼国家公務員の平均退職金(令和5年度)

退職理由 常勤職員 平均支給額 うち行政職俸給表(一)適用者 平均支給額
定年 約2,106万円 約2,098万円
応募認定 約2,524万円 約2,341万円
自己都合 約303万円 約355万円
その他 約211万円 約233万円
出典:内閣官房「国家公務員の退職手当の支給状況(令和5年度)」

▼地方公務員の平均退職金(令和5年度)

職種 全退職者 平均支給額 定年退職者 平均支給額
全職種 約1,326万円 約2,199万円
一般行政職 約1,436万円 約2,180万円
教育公務員 約1,436万円 約2,225万円
警察職 約1,626万円 約2,118万円
出典:総務省「令和5年地方公務員給与実態調査」

このように、定年まで勤続すれば、国家・地方を問わず安定した退職手当が支給されることが分かります。一方で、自己都合退職の場合は金額が大幅に下がる点には注意が必要です。

退職金の計算式:基本額+調整額

公務員の退職手当は、以下の式で計算されます。この2つの要素を理解することが、退職金計算の第一歩です。

退職手当額 = 基本額 + 調整額

次章から、この「基本額」と、多くの人が疑問に思う「調整額」について、詳しく見ていきましょう。

【最重要】公務員の退職金計算|「調整額」の仕組みを完全解剖

退職金の計算を複雑にしている最大の要因が「調整額」です。ここでは、基本額の計算方法を確認した上で、調整額の正体を徹底的に解説します。

ステップ1:基本額の計算方法

基本額は、退職時の給与と勤続年数によって決まります。

基本額 = 退職日の給料月額 × 退職理由別・勤続期間別支給率

  • 退職日の給料月額: いわゆる基本給です。各種手当は含まれません。
  • 退職理由別・勤続期間別支給率: 退職理由(定年、自己都合など)と勤続年数に応じて定められた割合です。勤続年数が長いほど、また定年退職の方が自己都合退職よりも率が高くなります。

例えば、勤続38年の定年退職の場合、支給率は「47.709」といった数値になります。

ステップ2:【独自解説】謎の「調整額」の正体とは?

「調整額」とは、在職期間中の貢献度に応じて加算される金額です。多くの解説サイトではこの点に触れられていませんが、調整額を理解することが正確な退職金を知る鍵となります。

「調整額」のポイント

調整額は、簡単に言えば「役職ポイント」のようなものです。在職中にどのくらいの期間、どのくらい高い役職(級)にいたかに応じて金額が決まります。

調整額は、在職期間を月単位で区切り、その月ごとに「調整月額」を算出し、そのうち最も高いものから60ヶ月分(5年分)を合計して計算されます。

調整額 = 上位60ヶ月分の調整月額の合計

そして、その「調整月額」は、職員の区分(役職・級)に応じて以下のように定められています。

▼職員の区分に応じた調整月額(例)

区分 調整月額 想定される役職(例:行政職)
10区分 70,250円 局長、部長級
9区分 61,750円 次長、課長級
8区分 53,500円 課長補佐級
7区分 45,250円 係長級
6区分 37,000円 主任級
5区分 28,750円 主任級
4区分 21,750円 係員
3区分 18,250円 係員
2区分 14,750円 係員
1区分 11,250円 係員
0区分 0円
※上記はあくまで一例です。自治体の条例により異なります。

つまり、若手時代は低い区分の調整月額ですが、昇進して係長、課長とステップアップしていくと、その期間は高い調整月額が適用されます。そして、最終的な退職金には、キャリアの中で最も輝かしかった5年間の「役職ポイント」が加算される、という仕組みなのです。

ケーススタディ:実際の計算例

基本額と調整額の仕組みを理解したところで、具体的な計算例を見ていきましょう。

【モデルケース:行政職・38年勤務・定年退職】

  • 退職日の給料月額:410,000円
  • 勤続年数:38年 → 支給率:47.709
  • 最終役職:課長級(在職期間中の上位60ヶ月が9区分に該当)
  1. 基本額の計算 410,000円 × 47.709 = 19,560,690円

  2. 調整額の計算 調整月額 61,750円 × 60ヶ月 = 3,705,000円

  3. 退職手当額の合計 19,560,690円 + 3,705,000円 = 23,265,690円

このように、調整額だけで数百万円の差がつくことが分かります。自分のキャリアパスを考える上で、調整額の存在は無視できない要素です。

【独自シミュレーション】定年延長 vs 早期退職の損得を徹底比較

2023年度から段階的に始まった「定年延長」。60歳で一度退職金を受け取るか、延長して働き続けるか、多くの人が悩むポイントです。ここでは、金銭的な側面に絞ってどちらがお得かを徹底比較します。

シミュレーションの前提条件

- 対象者: 59歳の一般行政職(課長補佐級) - 60歳時点の給料月額: 40万円 - 60歳時点の勤続年数: 38年 - 定年延長後の給与: 60歳以降、給料月額は7割(28万円)になると仮定。 - 退職理由: Aは60歳定年、Bは65歳定年、Cは55歳で応募認定退職。

パターンA:60歳で定年退職する場合

最もオーソドックスなパターンです。

  • 基本額: 400,000円 × 47.709 = 19,083,600円
  • 調整額: (課長補佐級と仮定し8区分)53,500円 × 60ヶ月 = 3,210,000円
  • 退職金合計: 19,083,600円 + 3,210,000円 = 約2,229万円

60歳で約2,229万円の退職金を受け取り、その後は年金生活や再就職の道を選ぶことになります。

パターンB:65歳まで定年延長する場合

2023年度からの定年延長に関する経過措置により、60歳到達後の勤務期間は退職手当の勤続期間に算入されません。 そのため、65歳で定年退職する場合でも、退職手当の額は60歳で退職した場合と原則として同額になります。

  • 基本額: 400,000円 × 47.709 = 19,083,600円
  • 調整額: 53,500円 × 60ヶ月 = 3,210,000円
  • 退職金合計: 19,083,600円 + 3,210,000円 = 約2,229万円

結論: 退職金の額はパターンA(60歳退職)と変わりません。ただし、60歳から65歳までの5年間で約1,680万円の給与収入(28万円×12ヶ月×5年)が追加で得られる点が最大のメリットです。

パターンC:55歳で早期退職(応募認定)する場合

キャリアチェンジなどを考え、早期退職制度を利用するパターンです。

  • 55歳時点の給料月額: 38万円(仮)
  • 勤続年数: 33年 → 支給率: 約43.65(定年退職と同等)
  • 基本額: 380,000円 × 43.65 = 16,587,000円
  • 調整額: 53,500円 × 60ヶ月 = 3,210,000円
  • 退職金合計: 16,587,000円 + 3,210,000円 = 約1,980万円

55歳という早い段階で約1,980万円のまとまった資金を手にできるのが最大のメリットです。

結論:どちらが得なのか?

パターン 退職年齢 退職金(概算) 60歳〜65歳の収入 メリット・デメリット
A:60歳定年 60歳 約2,229万円 0円 標準的。60歳で自由な時間が得られる。
B:65歳定年延長 65歳 約2,229万円 約1,680万円 生涯収入は最大化されるが、拘束時間は長くなる。
C:55歳早期退職 55歳 約1,980万円 0円 早く大きな資金を得て、セカンドキャリアに挑戦できる。

ライフプランに応じた選択を

- 生涯収入を最大化したい、健康で働き続けたい定年延長が有利。 - 60歳以降は趣味や地域活動に時間を使いたい60歳定年で計画的に。 - 新しい分野に挑戦したい、早めにリタイアしたい早期退職が有力な選択肢。

金銭的な損得だけでなく、ご自身の価値観や健康状態、家族との計画を総合的に考慮して判断することが最も重要です。

退職金にまつわるQ&A|税金・支給時期・注意点

最後に、退職金を受け取る際に知っておくべき実務的な知識をまとめました。

Q1. 退職金はいつ振り込まれる?

A. 通常、退職した月の翌月中に指定の口座へ振り込まれます。ただし、手続きの都合で少し遅れる場合もあります。

Q2. 退職金にも税金はかかる?

A. はい、所得税と住民税がかかります。しかし、退職金は長年の功労に報いる一時金であるため、「退職所得控除」という非常に有利な税制優遇が受けられます。

▼退職所得控除額の計算式(※2024年時点の法令に基づく。今後改正の可能性あり)

  • 勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数
  • 勤続20年超: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

税制改正に注意

上記の計算式は、2024年時点のものです。政府は勤続年数の長い人への優遇を見直す税制改正を検討しており、2025年度以降に変更される可能性があります。必ず最新の国税庁の情報を確認してください。

例えば勤続38年の場合、控除額は「800万円 + 70万円 × (38年 - 20年) = 2,060万円」となります。 課税対象となるのは、退職金額からこの控除額を引いた額の、さらに半分です。

(退職金額 - 退職所得控除額) ÷ 2 = 課税退職所得金額

今回のシミュレーションのケース(退職金約2,229万円)では、課税対象はわずか 約85万円 ((2229万円 - 2060万円) ÷ 2) となり、税負担は大幅に軽減されます。

重要:「退職所得の受給に関する申告書」を忘れずに提出!

この税制優遇を受けるためには、退職時に職場から渡される「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出してください。提出しないと、退職金の支給額に対し20.42%(復興特別所得税を含む)の税率で所得税が源泉徴収されてしまい、後で自分で確定申告をして取り戻す手間が発生します。

Q3. 自分の自治体の退職金条例を知りたい

A. 地方公務員の場合、詳細な支給率や調整額は各自治体の条例で定められています。Googleなどで「〇〇市 職員 退職手当 条例」と検索すると、条例原文を確認できます。少し読みにくいかもしれませんが、正確な情報を得るためには一次情報を確認することが重要です。

まとめ:退職金を理解し、主体的なキャリアプランを

本記事では、公務員の退職金について、平均額から複雑な計算の仕組み、そしてキャリア選択における損得までを深掘りしました。

  • 公務員の定年退職金は、約2,100万〜2,200万円が目安。
  • 退職金の計算式は「基本額+調整額」。特に「調整額」は在職中の役職(級)が大きく影響する。
  • 定年延長は生涯収入を最大化する選択肢だが、60歳以降の働き方やライフプランとの兼ね合いが重要。
  • 税制優遇が手厚いが、「退職所得の受給に関する申告書」の提出は必須。

退職金は、もはや「黙っていればもらえるもの」ではありません。定年延長や早期退職といった選択肢が増えた今、その仕組みを正しく理解し、自身のライフプランと照らし合わせながら主体的にキャリアを設計していくことが求められています。

この記事が、あなたの将来を考える上での一助となれば幸いです。

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