本記事では、予備校での講師採用経験と予備校での勤務経験のある筆者が、予備校側が採用OR不採用を決めるときの評価方法についてお話しします。
可能な限り採用可能性を高めるためのポイントになりますので、予備校講師を目指す先生方はしっかりと内容を頭に叩き込んでほしいと思います!
第一関門は書類選考
応募にあたって、どんな予備校でも最初に書類選考が実施されます。
一般的に、以下の2つの書類の提出が指示されます。
- 履歴書
- 職務経歴書
これら2つの書類にかかれている内容を元に面接に進んでもらうかどうかを決定することになるため、非常に重要です。
最低限、指示されたことは守るように
書類選考をしていると、そもそも指示された書類すら送ってこないエントリー山のごとし・・・。
職務経歴書を送るように指示を出しているにも関わらず、履歴書だけを送りつけてくる応募者が山のように現れます。
その他にも、WEB上で書類を送るような指示があるにも関わらず紙で書類を送りつけてくるなど、指示違反の具体例を挙げていくとキリがありません。
としか言いようがありません。
この場合、残念ながらほとんどの応募者はお祈り(注釈:就職活動や転職活動で不合格とすること)です。
採用側も通常業務の間をぬって採用活動を行っているため、わざわざ指示違反の書類を読み解いて可能性を見出したり、職務経歴書を送るように催促を出すようなことはしません。
必ず、指示された内容の書類を、指示された方法で送付するようにしましょう。
書類専攻でみている内容
履歴書と職務経歴書を通して、以下の内容をチェックしています。
- チェック1年齢年齢制限は特に設けていない予備校が多いですが、年齢によりスキルの要求水準は異なります。
予備校業界に限りませんが、採用されるだけであれば若いほうが有利であることは間違いありません。
- チェック2教育関係の経歴予備校・塾・学校などでの指導経験の有無や、実績を確認します。
特に以下の点は、職務経歴書に詳細に記載するようにしてください。・自分が指導を行ってきた業界の詳細(何の受験業界か?)
・予備校や学校の説明(学校名や予備校名だけを書かれてもわかりません)
・指導形態(リアルのクラスか?オンラインの経験もあるのか?)
・指導してきた科目また、教材制作ができる講師はどの予備校でも重宝されます。教材制作の経験がある先生は必ずPRしましょう。
- チェック3指導できる科目何を教えることができるのかを確認します。
予備校は科目指定して募集をかけているので、募集している科目を教えられる点をPRしましょう。
- チェック4学歴参考程度に確認します。
バックグランドを確認したいので、専攻内容は必ず記載しましょう。
特にチェック2の教育関係の経歴が重要で、履歴書だけではなく職務経歴書で詳細に確認します。
経歴が非常に優秀(有名大学卒業とか、名だたる有名予備校でのキャリアが中心とか)であれば、職務経歴書をそこまで詳述しなくても問題ありません。
もはや説明不要だからです。
そうでないならば、職務経歴書を使ってしっかりと自己PRしておくことが重要です。
経歴はピカピカでなかったとしても、授業や教材制作での工夫が伝わってきたり、ポテンシャルを感じることができると、面接で会ってみようと思うものです。
ちなみに、きちんと体裁を整えてわかりやすく履歴書・職務経歴書を書いてくるだけでもかなり印象はよいです。
予備校名や学校名だけを羅列しているだけで、仕事の中身が一切読み解けない謎の書類も山のように来るからです。
なお、書類選考で失敗しないためには無料の転職サービスを使ってみましょう。
体裁の整った職務経歴書のフォーマットももらえますし、書類の添削や改善のアドバイスを受けることもできます。
最近は「反社チェック」を行うことも多い
最近の予備校は書類選考段階で「反社チェック」を行うことも多いです。
これは、書類の情報を元にエゴサーチをかけることで、以下のような情報が出てこないかどうかを確認するというものです。
- 逮捕歴
- よろしくない評判や情報が出てこないか
反社チェックで、犯罪歴や業界内での悪評(特に生徒とのトラブルや経歴詐称系が多い)が明らかになり、お祈りとなる先生もごくごく稀にですが、いらっしゃいます。
採用合否の判定
書類選考を無事通過すると、今度は面接と採用試験(筆記試験と模擬講義)が行われ、ここで合否が判定されます。
採用試験(筆記試験と模擬講義)の結果が最重要
採用試験については、どんな予備校でも最低限以下のように評価を行っています。
- チェック1指導科目の学力・知識筆記試験がある場合、基本的には満点近い得点が求められます。
最低でも8割は得点するようなスタンスでのぞみましょう。
- チェック2講義スキル採用の可否を決定する最重要試験です。
通常、運営サイドの偉い人と講師・教材開発サイドの偉い人で採点します。模擬講義のパフォーマンスを評価するためのマニュアル化された評価シートが存在していることが多く、概ね以下の内容をそれぞれ3段階〜5段階で評価します。
・指示された条件で授業を組み立てることはできているか(特に時間配分とかは要注意です)
・わかりやすい説明や話し方ができているか
・再現性のある解き方をしているか
・聞き取りやすいしゃべりであるか
・不愉快になる癖などはないか
隠れた採用基準に「集客力」もある
また、上記の学力・講義のスキルの他に「人気がとれそうか」についてもチェックしています。
予備校講師採用は芸能オーディションに近いものがあるわけです。
理由は集客力につながるからです。
ここに関しては本当に正解がありませんが、あえて書くなら次のような項目をチェックします。
- 人柄がよくて居心地のよい授業を演出できる
- 惹きつけられるカリスマ性がある
- イケメンOR美人で映えるかどうか
- 芸人のように面白いキャラの持ち主
※こうしたキャラは人気が出そうですよね(芸能人などを想像してみましょう)?
繰り返しですが、正解はないので、自分のキャラでエッジを効かせていくことが重要になります。
「芸事」に近く、こればかりは一朝一夕にはどうにもできません。
条件面での合意も合否判定ポイント
面接の中で「採用試験の評価次第ではありますが、だいたいこれくらいの額ですが大丈夫ですか?」とか「希望の報酬額や年収額はいくらですか?」といった質問がなされます。
このときに、予備校側の提示額と講師側の希望額があまりにかけ離れていた場合は、やはりお祈りになります。
採用面接関係は合格を得てから、応募者側でジャッジを行うほうが有利です。
そのため、
- 予備校側が報酬額を提示してきた際は一旦承諾する
- こちらの希望額を聞いてきた場合「御社(御校)の規約に従います」
としておきましょう。
もし、全然承知できない条件提示をしてきた場合は、契約を断ればよいです。
ここで、条件面で合意ができれば契約締結となり、はれて本採用となります。
まとめ
ある程度予備校側の採用視点がつかめたかと思います。
重要なのは採用試験ですが、そもそも書類不備が酷すぎて面接にこぎつけていない応募者が一定数いることも事実です。
裏を返せば書類をしっかり作れば、面接に進める可能性も高いものと思ってよいでしょう。
予備校講師を目指されている先生方は是非とも同じ轍を踏まないように注意していただければと思います。
それでは!