予備校講師の年収と働き方を解説|副業としては超オススメ!

一時期は、「予備校ドリーム」とか「カリスマ講師」などと一攫千金できる職業として知られていた予備校講師・・・。
実際はどうなのでしょうか?

予備校講師としての業務経験があり、予備校講師の採用にも携わっている経験から推測すると、年収は数十万円〜1000万円くらいがボリュームゾーンと考えられます。

本記事では予備校講師の働き方の実態を解説し、予備校講師の年収や稼ぎ方のからくりを解き明かします。

さらに、新時代にふさわしい予備校講師としてのオススメの働き方まで提案します。

予備校講師として稼ぎたい方は必見です!

予備校講師の働き方って?

実は予備校講師の働き方はちょっと特殊で、これを知らないと稼ぎ方も理解しにくくなります。

まずは予備校講師の雇用形態から解説するので、働き方の理解を深めていきましょう。

予備校講師の雇用形態とは

予備校講師は、予備校との契約の仕方によって業務委託講師(業務委託講師)と社員講師(雇用契約)に分かれます
サラリーマンや一般的なアルバイトの経験しかない方は最初ちょっとわかりにくいところなのですが、とても重要なのでよく理解しましょう。

サラリーマンやアルバイトの働き方って?

雇用契約を結ぶことで働く人のことを、ここではサラリーマンと呼んでいます。
アルバイトについても雇用契約を結んで働きます。
多くの一般的な教員や塾講師も雇用契約を結ぶことが多く、そのような先生方はサラリーマンに該当します。
なお、正社員(正職員)とか契約社員や臨時教員などは、雇用の期間が問題となっているだけで、雇用契約の範疇になります。

 

予備校講師の多くは「業務委託契約」

多くの予備校では、講師との契約は「雇用契約」ではなく「業務委託契約」を結びます。
業務委託契約はきちんと理解していないと落とし穴も多くあるので、ここでは少々詳しく解説します。

 
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この「業務委託契約」についてきちんと理解している人は少なく、予備校講師となってもあまりよく理解していない先生方が多くいらっしゃるのが実際のところです(苦笑)。

業務委託契約の講師は個人事業主

そもそも業務委託とが何なのか?

業務委託とは、企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける働き方です。どんな仕事内容を、いくらで、どのように遂行・完了させるか等、仕事の内容ごとに契約を結んで働きます。近年、企業の人件費削減に伴う業務の外注増加に加え、労働者の働き方が多様化していることを背景に、業務委託は増加中。

https://employment.en-japan.com/tenshoku-daijiten/9353/

業務委託契約ではたらく講師は、個人事業主であって雇用されているというわけではありません。
個人事業主として、予備校をクライアントとして所定の業務を納品するというイメージです。

そのため、翌月にはこなした業務の数量分だけ報酬を請求します。

こなした授業の数だけ報酬を請求できる

もうちょっと具体的に説明しましょう。

予備校と講師が契約を締結すると、予備校側は「それじゃ○○先生、今年は●コマの授業をお願いしますね」って感じで一年間のコマ(出講する授業の単位みたいなものと思ってください)を提示(発注)します。

講師側は提示(発注)内容に従って毎月講義をこなし、翌月に前月にこなしたコマの分の請求書を予備校に送りつけることで報酬を受取ります。

この報酬が予備校講師にとっての給料になります。

つまるところ、こなした授業(正確には納品した業務の数)だけしか報酬が支払われないため、毎月の報酬額は授業の数によってバラつきがでることをしっかりと認識しておきましょう。

どの程度授業をこなせるのかは、先生のポジションや予備校の業界によって様々なのですが、とにかく、授業がたくさんもらえる月の報酬額は大きくなりますが、授業がない月の報酬はめちゃくちゃ低くく(場合によってはゼロ)なります。

正社員雇用の予備校講師について

ごくわずかではありますが、一部の予備校では予備校講師とも雇用契約を結んでいることもあります。

正社員の予備校講師はちょっと特殊なので、下の記事で詳しく解説しています。
関心のある方はこちらを参考に求人を探してみてください。

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業務委託型予備校講師のメリット・デメリット

メリット

授業だけに集中できる

予備校講師になりたい人はこんな人が多いと思います。

授業だけをやりたいんじゃ!
授業だけで評価されたいんだよ

一般のサラリーマンだと、事務系業務や営業活動などの組織全体への貢献を求められる業務がつきまといます。

業務委託であれば、指定の業務(=授業のコマ)の納品にだけ専念すればよいので、こうした願望をお持ちの先生方には非常に向いています。

余計な業務を一切取っ払い、己が好きで得意な分野のみで勝負できるというわけです。

サラリーマンよりも自分の時間を確保できる

授業を納品すればいいということは、裏を返せば、授業以外の時間は何をしていたって自由です。

一日8時間の拘束が義務ではありませんので、空いた時間で他の仕事をしてもよし、勉強してもよし、何をしていても問題ありません。

予備校講師に限ったことではありませんが、一般的なフリーランスとしてのメリットを享受できることになります。

スキルとやり方次第で高収入!

予備校講師の報酬は簡単にいうと以下のように決まります。

(コマ単価)×(コマ数)

理論上は、スキルを高めてコマ単価を引き上げて契約し、多くのコマ数を獲得できれば少ない時間でどんどん稼げます。

参考までに、平成末期〜令和の現代では予備校講師のコマ単価のレートは大体以下のようになっていると思われます。

コマ単価はいくらくらい?

この業界はコマ単価のレートを時給で測るのが一般的です。
これまで、私が一般的に確認してきたところでは1時間あたり5,000円〜30,000円くらいです。

デメリット

授業ができなければ収入0

業務委託の場合、納品がなければ報酬を請求できません。
予備校講師の場合、コマをもらえなかったり、授業を休んでしまうと報酬が発生しないことになります。

新米の先生やスキルが低い先生の場合、コマ単価も低く抑えられていて、なおかつ与えられているコマ数も少ないので、恐らく収入は低くてカッツカツです。
また、病気がちな先生であったり、家族をもっている先生は授業を休むこともあると思いますが、休めばその分だけ報酬はなくなります。

また、コマを割り振るのは予備校側なので、思った通り授業に入れるとは限りません。
(コマ単価)×(コマ数)の公式だけをみているとコマをこなせばガンガン稼げそうですが、コマ数を増やせずに思ったように収入を伸ばせないこともこの業界あるあるです。

この辺の感覚がサラリーマン型の教師業・講師業と大きく違います。
予備校講師一本で食っていきたいと考えている方は要注意です。

肉体労働なので体力的にも稼働に限界がある

メリットの裏返しです。

コマ数を増やせば収入も青天井のように受け取った人もいると思いますが、そもそも教師業・講師業は肉体労働型の現業なので、体力的にも稼働に限界があります。

仮に時給5,000円の先生で、一日6時間授業をこなしたとしましょう。

計算上は一日で30,000円稼ぐことになり、「結構高くていいじゃん!」って思った人もいると思いますが、よくよく考えてみましょう。
この6時間はすべて授業をしているので、6時間すべて立ちっぱなし・しゃべりっぱなしです。

私もやったことがありますが、かなりきついです。
連日この稼働だと相当疲れますし、何よりも歳をとってからもこの稼働を維持することを体力的に相当難しいのでは?と感じていました。

予備校講師一本だけで生涯食べていくことは、やはりそれなりにリスクありです。

税務・年金・健康保険の問題

繰り返しになりますが、業務委託の立場は個人事業主です。
個人事業主は、確定申告を自分で行い自分の責任で税額を確定させて支払いを行う必要があります。

ここもサラリーマンには馴染みがなく、業務委託の予備校講師になったばかりの先生方は困惑するところです。
サラリーマンの税金関係の業務はすべて会社で行ってくれるので、各社員は何もしなくても勝手に税金が決まって、支払いについても毎月の給与から天引されます。

年金と健康保険についても、サラリーマンの場合は厚生年金保険というものに会社によって加入させられ、年金と保険料の支払いについても毎月の給与から天引です。

個人事業主は、国民年金と国民健康保険に自分で加入して支払いを行う必要があります。

こうした公金関係について、サラリーマンはすべて会社がやってくれるので何もしなくてもよいです。

しかし、個人事業主はすべて自分でやらないといけません。

 
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後ほど解説しますが、じつはデメリットだけではありません。
しかし、国民健康保険は休業補償がないので、守りに弱いことを覚えておきましょう。

予備校講師の年収についてまとめ

年収は数十万円〜1000万円くらいがボリュームゾーン

業務委託の予備校講師の場合、各先生のコマ単価もコマ数も色々であるため、ぶっちゃけ年収は先生によりけりです。

私のこれまでの予備校講師経験&勤務経験では、年収数十万のアルバイト塾講師級の先生方〜1000万プレイヤー講師まで幅広く確認されています。

一つの予備校だけでこの年収を稼ぎ出す先生もいれば、複数の予備校や学校を兼務してこの年収を稼ぎ出す先生もいることもポイントです。

よく巷できく伝説の予備校講師のような、年収数千万〜億プレイヤーは恐らく存在しません
この逸話は高度経済成長期の子どもの数が多かった頃の時代の話です。
現代は少子化すぎるので、どの予備校もそこまで授業を開くことができませんし、そもそも予備校の売上も当時に比べて大きく下がっています。
予備校講師に支払うギャラの原資がないのです。

年収を伸ばすためにはコマ数を増やすことが重要だが・・・

大事なことなので、予備校講師の年収の公式をもう一度。

(コマ単価)×(コマ数)

理論上は、スキルを高めてコマ単価を引き上げて契約し、多くのコマ数を獲得できれば少ない時間でどんどん稼げます。

しかしながら、現代ではコマ単価の部分が上がっていることをあまりみたことがありません。
残念ながら同じ予備校の中では、新人〜ベテ・人気講師の間でコマ単価の部分は数千円程度の差しかないところも多くあります。

そうすると、いかにしてコマ数を伸ばすかが重要となります。
一つの予備校で満足行くコマが得られなければ、他の予備校や学校にも在籍してコマ数を増やすことが重要です。

予備校講師専業でいくなら試験と科目のポジショニングも重要

これまでの話で、コマ数を増やせば予備校講師としての年収が上がることはおわかりいただけたと思います。

では、コマを増やすために最も重要なことは何でしょう?
予備校講師事業として最も重要な戦略の部分をお伝えしておきます。

需要のある試験や科目で予備校講師をやる

コマ=授業なので、授業が多く開かれている科目=需要のある科目で講師をやれば稼げるということになります。

大学受験で例えると、英語や数学などのメイン科目で予備校講師をやれば稼ぐチャンスは大きくなりますし、逆に「倫理専業講師」みたいなマイナー科目講師のようなポジショニングでは稼げません。

特に、予備校講師一本で食っていこうと思うなら、ポジショニングの検討は超絶重要です。

まとめ

予備校講師専業はオススメしない

専業で予備校講師をやることはあまりオススメできません。

そもそも思ったよりも稼げません。
稼げるようになったとしても、ハードな立ち仕事スタイルの現業を生涯続けていくことは難しいと思うので、いずれコマ数分だけの稼働を維持することができなくなります。

極めつけは、少子化の影響でコマ単価は上がらないので、歳をとったあとに年収を維持することが難しくなるのです。

その他にも個人事業主のリスクとか色々あるにはありますが、稼げる期間が限定的であるということが一番大きなリスクではないかと思います。

20代〜30代の方で予備校講師一本で食っていこうと考えている方は、この記事や他の記事もよく読み、今一度よく考えてみることをおすすめします。

副業としてやるなら超オススメ!

副業としてならかなり稼げる

業務委託の予備校講師は副業としてやるならとてもオススメです。

時給5000円で90分授業とすると、コマ単価8000円。
月に数コマこなすだけでも結構な副業収入になります。

稼働時間だけはなんとか捻出する必要がありますが、予備校側にもスポット型の講師のニーズは一定程度あります。
副業で講師業をやっていることを予備校の運営側に相談すれば、柔軟に対応してくれることが多いでしょう。

  • 週末だけ授業
  • 休暇のときに授業

みたいな感じでスタートするとよいでしょう。

昨今の副業ブームで色々な副業が紹介されていますが、副業としてとらえるなら単価も高く効率的に稼げます。

ぶっちゃけ、チマチマWEBマーケティングをやるよりもはるかに効率的に稼げます。

映像授業講師に採用されれば高単価も

昨今は映像授業も増えてきています。
映像授業は一度録画してしまえば終了なので、予備校側も高単価を提示してくる傾向にあります。

もちろん、東●ハイ○クールのように、業界トップクラスの腕のよい講師を集める目的で破格の単価を提示しているケースもあるので、採用されることもそう簡単ではない場合もあります。

ですが、業界全体としてデジタルシフトを進めていることも事実なので、映像授業に対応できる講師のニーズは大きいです。
そこまでの腕はなくても採用されるケースもありますので、求人を探してみましょう。

業務委託なら「給与」以外の所得をゲットできる

予備校講師としての年収は「事業所得」または「雑所得」です。
これは確定申告をすることで、費用をコントロールして利益をある程度自分の手で握ることができる所得をゲットすることができるということです。

確定申告は手間がかかるという意味ではデメリットに挙げましたが、実はやりようによってはメリットでもあります
今はやりの副業している人たちの仲間入りをして、自分の事業を育てる第一歩を踏み出すことにつながるわけです。

「教えること」をスキルとしてもっている人にはとてもオススメです。
新しい時代の働き方として、副業予備校講師にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

予備校講師の求人の探し方や採用試験対策については以下の記事で詳しく解説しています。
興味のある方はこちらもどうぞ!

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