このサイトを見ている人は、学校や塾・予備校で教員や講師がブラックすぎでもう辞めたいけど、転職活動が上手くいかずに悩んでる先生ではないでしょうか?
ネットや転職サイトでも「教職からの転職は難しい」というものが多く、心が折れそうな先生方も多いことと思います。
確かに、一般的には教師、塾予備校講師から一般企業への転職は難しいと言われます。
教師、塾・予備校講師の先生方からすると、耳の痛い話かもしれません。
当初、こうした話を聞いたときは私も絶望しました。
しかし、「転職が難しい理由」をはっきりさせることができれば、対策して評価をくつがえすことが可能です。
この記事では、大学教員、塾・予備校講師の経験しかない筆者が、全くのゼロスタートから一般企業に転職した体験を元に、教員、塾・予備校講師からの転職が難しい理由とその打開策について説明します。
- 転職活動をしていたときにエージェント・企業人事から聞いた教職関係者への懸念点
- 現職の一般企業(IT企業)内での教職勢への評価
先生方からすると、多少腹立たしくかつ耳が痛い話であったとしても、聞いたままお話します。
これは先生方を揶揄しているのではなく、知ることがタメになるからなのです。
そして、実際に私が転職活動で行った対策方法について、読んだ書籍やセミナー・講座などの対策ツールも合わせて紹介するので、こちらも参考にしたりして問題の解決に取り組んでみてください。
転職エージェントや一般企業が考える一般的懸念点
ここでは、私の転職活動を通じて様々なエージェントや企業の担当者から聞いた教師・講師関係職の人への懸念点を紹介します。
スキル・経験のミスマッチが多い
教職の転職が難しい理由のダントツ一位はこれです。
- 転職エージェントからすると紹介できる企業やポジションがない
- 企業からしてもほしいスキル・経験がない
教師、講師といった職業の先生方はいわば教育専門職です。
そのため、多くの一般企業の業務とはマッチングしにくいのです。
そうなると、教師、講師はどこにも転職するところがないのか?
もちろんそんなことはありませんので、ご心配なく。
motoさんの「転職と副業のかけ算」という書籍を読めばある程度転職への道筋はみえるようになってきます。
実はこの書籍は私が初めての転職活動をしているときはまだ販売されておらず、今から転職活動する方はうらやましい限りです。
転職活動をおこなう全ての者が読むべき名著ですので、必ず購入して一読するようにしましょう。
年収面でのミスマッチも多い
20代〜30代の教員、塾・講師の年収は、他の業界の一般のサラリーマンよりも高い傾向にあります。
特に大手予備校のプロ講師であれば、人によっては20代でも年収600万を超えています。
一部の猛者は20代で年収1,000万を超えているケースもあります。
しかし、そのままの年収でスライド転職しようとすると、多くの場合採用企業側とのミスマッチが生じてしまいます。
教育業界以外の経験がない先生方からすると、イメージがわきにくいと思います。
例として、一般企業での年収600万以上のポジションってどんなものかを説明します。
- 急成長業界や超大手大企業のヒラ社員
- 管理職等の役職つきのポジション
- 市場価値の高い職能
こうしたポジションにつくには、いずれも相応の経験やスキルが必要になることは言うまでもありません。
一方で、多くの一般企業では教育業界の経験やスキルはほとんど評価されません。
そのため、希望年収と求められるスキルのミスマッチによってなかなか転職が成功しない傾向にあります。
- 講師側(転職者側):高い年収がほしい
- 企業側(雇う側):そんなに払いたくない
という状態になっているとイメージしてください。
しかし、きちんと業界や職種の研究を行うことで、確実に自分に合って活躍できる転職先を発見することは可能です。
以下の記事では、不当に年収を下げることなく、しっかり活躍して実績を残せるところに転職して、将来はさらに年収も上がってやりたいことを実現できるような状態になるための作戦の立て方を紹介しています。
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教師、塾・予備校講師が選考で不利になる理由と対策
ここからは、選考(書類選考と面接)で教師・講師が不利になる理由として最もよくある「ビジネス経験の不足問題」と「話がわかりにくい問題」を取り上げ、対策方法を説明します。
ビジネスの経験がない
「教員 転職 難しい」で検索すると必ず上位にくる「ビジネス経験の不足」とは一体なんでしょうか?
これはよーく噛み砕いてみると、一般企業で身についていると評価される仕事のスキルやマインド・思考法の類のものを指していることが多いです。
転職教員勢としては、仕事の基本(一般企業の歩き方)と目標達成・課題解決思考の2点をしっかりと強化することがポイントとなります。
新卒が学ぶような仕事の基礎・基本を知っておく
ビジネスマナーやマインドセットから始まって、メール対応から会議のやり方など、新卒でもできる仕事の基本が一切身についていない教師・講師の先生が非常に多いです。
一般企業に勤めたことがないのでイメージできないのは当然ですが、それでもできる限り情報収集して基本を意識しまよう。
とにかく、相手(一般企業)をある程度理解しなければ、評価される書類も作成できませんし、面接でも上手にパフォーマンスできません。
ここでは、オススメの自己啓発本を2冊紹介しておきます。
1冊目は、有名な炎上系インフルエンサーの田端氏の本ですが、一読すると評価されるサラリーマン像がなんとなくわかります。
田端氏に関しては色々とご意見あるかもしれませんが、この御方は自他共に認める元プロのサラリーマンですので、読んでおいて損はありません。
もう一点オススメなのが、元USJのマーケッターの森岡氏が書いた仕事論の本です。
ビジネスを極めた森岡氏が自分の体験談と合わせて就職・転職とは?仕事やキャリアとは?をわかりやすく解説してくれています。
新卒を迎える我が子に向けて書いたそうなので、ビジネスのことが全くわからない教員にもぴったりです。
目標達成型・課題解決型の考え方を身につける
ビジネスでは、営業が関係する職種では売上や利益などの明確な数値目標が設定され、開発関係の職種であってもQ(Quality:品質)C(Cost:コスト)D(Delivery:納期)の指標や目標が設定されます。
すべからく、どんな職種であってもKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)と呼ばれる数値が設定され、目標と現状とのギャップを意識することが求められます。
こうした目標を達成するためのアクションプランを考え、上手くいっていないのであれば何が課題なのかを考えて、その課題を解決するためのアクションプランを検討するといった考え方が基本となります(一般企業でいうところの”改善”はこうしたことを意味します)。
教員の場合どうしても日常業務が現場を回すことが中心になってしまうので、あまりこうした考え方を意識することはない先生が多いと思います。
ですが、一般企業ではこうした目標達成や課題解決の実績こそが最重要であり、評価されるポイントとなります。
書類選考の段階でも、無理矢理でもこうした目標達成思考・課題解決型思考が備わっていることをアッピールしなければ全く評価されないというのが実際のところです。
そこで、いくつか簡単なものでよいので問題解決本と呼ばれる本を読んでこうした考え方を習得しましょう。
まず、サクッと読めるとても薄いテキストである「世界一やさしい問題解決の授業」で課題解決の基本的な考え方を習得します。
ただ、この「課題解決」ってヤツは本を読んだだけでは身につかず、ある程度アウトプットトレーニングを行うことが重要となります。
幸いにもこの界隈にも問題集は存在しているので、「ケース問題ノート」と呼ばれる課題解決の練習問題ドリル(解説はとても詳しいです)で問題練習すれば完璧です。
なお、上記2冊をやってみて物足りない・まだまだ深めていきたい人は以下の本を読んでみましょう。
話がわかりにくく面接に受からない
教師、講師はしゃべりを生業とする職業なので、これは意外だったかもしれません。
以前、いくつかの超大手企業が教育関係のバックグラウンドの職種の人を募集したことがあり、その際に教員や塾・予備校講師もこぞって応募したそうですがほとんど落ちてしまった、という話をエージェントから聞いたことがあります。
理由を聞くと、なんと、スキルが云々より何より話がわかりにくすぎでどうにもならないといった理由で敬遠されてしまったとのことでした。
ビジネスコミュニケーションとは?
講師や教師としての説明力やコミュニケーション力は、一般企業で求められるものとは若干異なります。
- 一般企業で望ましいとされる話し方1一にも二にも結論ファーストで話すビジネスコミュニケーションの基本中の基本とされています。
実は教育職の人はこうしたコミュニケーションにあまり慣れていません。
- 一般企業で望ましいとされる話し方2ダラダラとまとまりのない話を続けない一般企業では、端的でまとまりのある話し方が好まれる傾向にあります。
結論→理由or補足説明、結論→理由or補足説明・・・を短く繰り返していくイメージです。
- 一般企業で望ましいとされる話し方3曖昧な表現を避ける多くのステークホルダー(利害関係者)が絡む業務が多くなる傾向にあるため、認識の齟齬を最小限にする話し方が求められます。
ロジカルシンキングの訓練で改善可能
なお、これは職業に応じたコミュニケーションのスタイルの問題なので、良い悪いの問題ではありません。
講師や教師は、ただわかりやすい説明をすればいいというわけではなく、相手を惹き付けるような話し方をしなければいけません。
一方で、ビジネスではシンプルに「わかりやすさ」のみにフォーカスを当てたコミュニケーションスタイルが好まれるというだけのことです。
なお、こうしたビジネスライクな話し方や書き方のスタイルはロジカルシンキング関係の本を読むことで、お作法を学べます。
私は以下の本を読むことでかなり改善できたので、オススメしておきます。
転職するまでバレない・気にならないが対策したほうがよいもの
ここからは、巷では教師、講師の先生方の弱みとして挙げられていることが多いものの、実際には書類選考や面接でチェックできないため、上手にごまかせる系統の懸念点を紹介します。
まだ全然内定がとれない先生方は後回しOK、一旦は受かることにのみ集中してください。
ただし、以下のものが本当に当てはまっている場合、入社後はバレるので後々は要注意です。
PCスキル
一般企業ではほぼ毎日PCを操作することになるので、常識的なレベルのPCスキルは必須です。
教師・塾講師は日常業務であまりPCに触らないので、ほとんどPCスキルがない人もいます。
しかし、一般企業でその状態だと業務にならないので、採用側もかなり不安視しています。
PCスキルはテストがないので、面接ではうまく誤魔化せるかも知れませんが、入社したら爆死確定です。
ただし、PCスキルと言ってもそんな高度なものではなくあくまで「基本」で十分です。
具体的には、メールアプリ・Word・Excel・PowerPointの基本的な操作ができれば十分です。
ただ、教師、講師であってもメールやWord(先生によってはPowerPoint)は教材制作などで日常的に使っている先生方も多いことしょう。
多くの場合、弱いのはExcelと思いますが、一般企業では毎日Excelとコンニチハです。
かなり後回しでもよいですが、苦手な先生方は対策が必要なので本を紹介しておきます。
この本は、熊野さんという有名なExcelの講師の先生が書いた本で、同じ内容の動画講義がUdemyでも販売されているため動画×本で効率的に学習できます。
Excelの勉強は本だけではどうにもならないくらいわかりにくいので、動画も用意されている熊野先生の本はオススメです。
社会常識
教育業界はカルチャー的な部分が一般企業と大きく異なり、ものによってはかなり異常なケースもあります。
教育業界でのみ育った先生に関しては、本人が無自覚であることも厄介なポイントです。
みんながみんなそうではないという点は前置きしておいた上で、いくつか具体例を紹介しておきます。
- 例1ルールや法令遵守意識が希薄おもむろに犯罪をかます先生はほぼいません。
そうではなく、組織やサラリーマンとしてのルールを守らない、あるいは知らないという人が多い傾向にあるのです。
特に、労働法関係(特に残業周り)に関してかなり無知な先生が多いです。
教員時代はほぼ自分の裁量により過労死寸前まで自由に働けましたが、普通の一般企業ではまずそうはいきません。
- 例2ハラスメント体質な人も多い教員の世界は土方や職人の世界と通じるものがあり、師匠と丁稚(でっち)のような世界観が残っており、それをよしとして業界が回っているフシがあります。
これは教師に限らず、専門職の世界はみんなそうかもしれません。
当たり前of当たり前ですが、そのノリで同僚や取引先と接するとハラスメントで一発アウトです。 - 例3新卒でもできる結構基本的な仕事もできないすごく基本的なところでは電話やメールの対応ができないことから始まり、若干高度なところでは会議に上手に参加できない、などがあります。
これらは一例であり、いずれも通常の企業では学校を卒業したての新卒者でもできる程度のことです。
しかし、教員には無用の長物なので、トレーニングされていない先生も多くいます。
見に覚えがある先生方は注意してください。
まとめ
いかがでしょうか?
とにかく、転職したいのであれば勉強して対策しろ!!
これに尽きます。
ある程度ビジネスについて勉強しておかないと、そもそもレジュメを作れませんし、面接でも全く会話が噛み合いません。
専門性の異なる領域へ中途で移ろうとしているのだから、最低限のことは自分で勉強していくことが非常に重要です。
ある程度ビジネスについて勉強しておかないと、そもそもレジュメを作れませんし、面接でも全く会話が噛み合いません。
ビジネスに関する書籍をなんでもいいので数冊読んで、基本的な知識をインストールしましょう。
オンラインでビジネスに関する講義を安く受講することもできますし、youtubeでも勉強になるコンテンツはたくさんあります。
教師・塾講師はお勉強は大得意なハズ。
いかんなくその強みを発揮して、キャッチアップしてください。