公務員SPIは倍率が高い?全国推移と自治体別の実数で検証【2026年版】
地方公務員試験全体の競争率は10年で7.0倍→4.6倍へ低下傾向(総務省)。一方SPI方式区分の公表倍率は茨城県1.3倍(第1次段階)からさいたま市26.8倍まで開きます。特別区・さいたま市・札幌市・茨城県の一次情報実数と、倍率の分母分子の読み方を解説します。
「SPI方式の公務員試験は倍率が高い」と聞くことがあります。しかし、SPI方式を一つの数字で語ることはできません。全国の地方公務員試験全体の競争率、各自治体のSPI方式の区分別実績、そして倍率の計算方法は、それぞれ別に確かめる必要があります。この記事では、公式に公表された実数を使い、どの区分をどう確認すればよいかを整理します。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」)
先に結論をいうと、地方公務員試験全体の競争率は平成26年度の7.0倍から令和5年度の4.6倍へ低下傾向です。ただし、これはSPI方式に限った統計ではありません。一方、SPI方式で受験できる区分の公表実績は、第1次段階の1.3倍から最終合格ベースの26.8倍まで開いています。まずは「SPI方式かどうか」だけでなく、自分が受ける自治体・区分・年度の実施状況を見ることが大切です。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」、札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
全国の競争率はどう動いているか
総務省の令和5年度調査では、地方公務員の競争試験全体で受験者は399,199人、合格者は86,753人、競争率は4.6倍でした。受験者は前年度より39,452人減り、合格者は1,949人増えています。総務省は、受験者数が長期的に減少し、合格者数がなだらかに増加しているため、競争率が低下傾向にあると示しています。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」)
10年間の競争率は、平成26年度の7.0倍から令和5年度の4.6倍まで、途中で小幅な変動を含みつつ下がっています。年度ごとの変化を見ると、短期の数字だけで「今年は高い・低い」と決めるより、長期の傾向と志望区分の実施結果を分けて確認するほうが実態をつかみやすくなります。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」)
平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 読み方 出典: 総務省 令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要(2026-07-17確認)
この図の対象は、都道府県47団体、指定都市20団体、市区町村1,721団体の地方公務員競争試験です。「選考」という名称でも、実質的に競争試験的な選考を含みます。したがって、4.6倍を「SPI方式の全国倍率」と読むことはできません。SPI方式限定の集計ではなく、全試験区分の状況を示す基礎データとして位置づけます。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」)
SPI方式区分の実倍率(実測)
SPI方式で受験できる区分については、自治体の実施状況を見ると数字に大きな幅があります。以下は完結した年度の公表値を中心にした例です。茨城県だけは第1次試験段階の数値であり、最終合格までの倍率とは同じ指標ではない点に注意してください。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
特別区Ⅰ類【早期SPI枠】
令和8年度の特別区Ⅰ類【早期SPI枠】は、採用予定数191人、申込者2,217人、第1次受験者2,026人、最終合格者490人で、倍率は4.1倍でした。この倍率は第1次受験者数を最終合格者数で割る公表値です。申込者数だけではなく、実際に受験した人数と最終合格者数が公表されているため、確認時には両方を見ておくとよいでしょう。(出典: 特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」)
さいたま市のSPI3テストセンター方式
さいたま市の令和8年度春試験では、SPI3テストセンター方式区分の行政事務Cが申込153人・最終合格7人で21.9倍、行政事務Dが申込134人・最終合格5人で26.8倍でした。同じ方式でも、技術職は土木2.4倍、建築2.0倍、電気8.0倍、機械2.0倍と公表されています。行政事務C・Dと技術職の値には幅があり、方式名だけでは倍率を予測できません。(出典: さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
札幌市「大学の部(SPI方式)」
札幌市の大学の部(SPI方式)の一般事務(行政コース)は、令和6年度が申込270人・受験254人・最終合格41人で6.2倍、令和7年度の10月採用枠が申込216人・受験195人・最終合格56人で3.5倍、令和8年4月採用枠(令和7年度実施)が申込382人・受験346人・最終合格70人で4.9倍でした。年度や採用枠が変わると、同じ一般事務(行政コース)でも公表倍率は変化しています。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」)
札幌市の令和8年4月採用枠では、一般事務(行政コース)以外にも、福祉コース2.4倍、学校事務19.0倍、土木1.5倍、建築1.7倍という実績が公表されています。学校事務は最終合格者1人の例です。札幌市の同じSPI方式であっても、区分別の公表倍率は1.5倍から19.0倍まで開いています。なお、令和8年度実施分は選考進行中のため、ここでは用いていません。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」)
茨城県の早期日程は「第1次段階」の数値
茨城県の大学卒業程度試験【早期日程】は、事務・技術等の対象区分で第1次試験を基礎能力検査(SPI3)で受験できます。令和8年度早期日程の公表値は、第1次試験段階で、事務(知事部局等B)が受験269人・合格90人の3.0倍、事務(警察本部B)が受験62人・合格20人の3.1倍、技術計が受験236人・合格179人の1.3倍、総計が受験567人・合格289人の2.0倍です。(出典: 茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、茨城県「令和8年度試験概要」)
茨城県の数値は、第1次受験者数を第1次合格者数で割った第1次段階の競争率です。特別区、さいたま市、札幌市の最終合格者を用いた倍率と並べるときは、同じ意味の「倍率」とは限りません。数値の大小だけで比較せず、どの選考段階までを表す数字かを確認してください。(出典: 茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
茨城県・技術計(第1次段階) 札幌市・土木(R8年4月採用枠) 特別区・早期SPI枠(R8) 札幌市・一般事務 行政(R6) 札幌市・学校事務(R8年4月採用枠) さいたま市・行政事務D(R8春) 読み方 出典: 各人事委員会の公表実施状況(2026-07-17確認・本文の出典リンク参照)
このレンジは、SPI方式の全国平均や将来の予測を示すものではありません。自治体・区分・年度、さらに選考段階の違う公表値の幅を示すための例です。「SPI方式だから高倍率」または「SPI方式だから低倍率」と一括りにせず、志望先の区分名で実施状況を確認してください。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
なぜ差が開くのか
公表された数字には、採用予定数の規模にも差があります。特別区Ⅰ類【早期SPI枠】の採用予定数は191人でした。これに対し、さいたま市の行政事務C・Dは最終合格者がそれぞれ7人、5人で、合計12人でした。こうした実数の違いは確認できますが、採用予定数だけを原因として倍率の高低を断定することはできません。(出典: 特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
また、同じ自治体でも枠の性質や区分が異なります。たとえば札幌市では、大学の部(SPI方式)は一般方式との同一年度の併願ができませんが、10月採用枠と4月採用枠は併願可能で、数には重複があります。このように募集・併願の扱いまで含めて条件が異なるため、別の区分の倍率をそのまま自分の区分に当てはめないことが必要です。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」)
倍率を読むときの注意
倍率は、公表元によって分母と分子が異なります。特別区、さいたま市、札幌市は受験者数または公表された受験実績を最終合格者数で割る倍率を示し、茨城県は第1次受験者数を第1次合格者数で割る第1次段階の競争率を公表しています。記事やSNSで倍率を見るときは、数値の前に「受験者÷最終合格者」なのか「第1次受験者÷第1次合格者」なのかを確かめましょう。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
進行中の試験の数字と、選考が完結した年度の数字も分けて扱います。札幌市では令和8年度実施分が進行中で、最終合格者数と倍率が公式表で未確定です。そのため、本記事の札幌市の例には完結年度のみを用いています。年度が変われば申込・受験・合格の人数も変わるため、前年の実績は確認材料の一つとして読み、募集案内と最新の実施状況をあわせて確認してください。(出典: 札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」)
高い倍率が公表されている枠を、数字だけで避ける必要はありません。まずは自分が受験できる区分、採用年度、選考段階をそろえたうえで、公式の実施状況を確認します。その結果を受験先を検討する材料の一つにし、倍率の定義が違う数字を横並びにして判断しないことが重要です。(出典: 茨城県「令和8年度試験概要」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
自分の区分の倍率を調べる手順
受験したい自治体の人事委員会・採用担当の公式サイトを開き、「試験実施状況」「採用試験実施結果」などのページを探します。特別区、さいたま市、札幌市、茨城県の公式ページには、今回紹介したように区分別の受験者数・合格者数または競争率が掲載されています。(出典: 特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」、札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」)
「SPI方式」「SPI3」「テストセンター方式」「早期SPI枠」など、募集案内に書かれた方式名と、自分の職種・区分名を一致させます。茨城県の早期日程は第1次試験で基礎能力検査(SPI3)を受験でき、さいたま市はSPI3テストセンター方式、特別区はⅠ類【早期SPI枠】として公表されています。名称が異なるため、自治体名だけで探さず区分名まで確認します。(出典: 茨城県「令和8年度試験概要」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
最後に、年度、申込者数・受験者数・合格者数、そしてどの段階の倍率かをメモします。特に第1次段階の競争率と最終合格ベースの倍率は別の指標です。前年の結果を見るときも、今回の募集案内にある採用予定数や選考区分を必ず確認し、条件の異なる数字を混ぜないようにしてください。(出典: 茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
対策の考え方
倍率がどの水準であっても、SPI方式で受験するなら第1次のSPI形式に対応できることが前提です。志望先の募集案内で試験方式と選考段階を確認したうえで、まずは出題形式に慣れ、受験当日に落ち着いて解ける状態を目指しましょう。倍率の数字だけを追うより、受験する区分で求められる選考に向けて準備を進めることが実践的です。(出典: 茨城県「令和8年度試験概要」、特別区人事委員会「令和8年度Ⅰ類【早期SPI枠】実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
まとめ+編集方針と更新について
公務員SPIの倍率は、全国の全試験区分では令和5年度4.6倍で、10年間では7.0倍から低下傾向にあります。ただし、この総務省の統計はSPI方式限定ではありません。SPI方式で受験できる区分の実績を見ると、茨城県早期日程の技術計は第1次段階で1.3倍、さいたま市の行政事務Dは最終合格ベースで26.8倍など、自治体・区分・年度・選考段階によって幅があります。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」、茨城県「令和8年度早期日程第1次試験実施状況」、さいたま市「令和8年度職員採用試験・選考 実施状況」)
本記事の確認日は2026年7月17日です。毎年7月に総務省の調査結果と、各自治体が公開する試験実施状況を再照合します。更新時も、進行中の試験の未確定値は確定実績と分け、倍率の分母・分子が分かる形で記載します。(出典: 総務省「令和5年度 地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」、札幌市人事委員会「大学の部(SPI方式)試験実施状況」)
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