文章理解文章理解の問題(No.4)
次の文の内容と合致するものとして最も妥当なのはどれか。 小集団の価値観やルールは,それを批判するメタレベルの価値規準が存在しない現在の状況では,集団メンバーの合意やリーダー格の人間の判断によって,容易にルール変更が生じやすい。そのため,絶えずリーダー格の人間や他のメンバーの言動に留意し,それなりに調子を合わせる必要性が生じてくる。このような状況下では,もはや集団内で共有されていたもともとの価値への信憑は薄れ,承認を維持することだけが目的化されやすい。集団の価値観を直接信じるというより,みんなが信じるからそれを信じるのであり,その集団の価値を本当は信じていなくとも,あえて「信じるふり」をし,承認を得ようとするのだ。したがって,リーダーや幹部がその価値観を修正すれば,容易に従来の価値観を捨て,それについていくことになりやすい。結局,集団内の承認のほうが,共有されている価値観よりも重要なのである。 信じるふりをするだけの価値観さえ共有されていない集団や人間関係においては,承認の不安はさらに深刻になる。学校の仲間集団などは,特定の価値観を共有していないことが多いため,より直接的に承認を求め合うゲームとなりやすい。友だちと共有している感覚や趣味から逸脱した言動はしない,その趣味が好きなふりをし続ける,といった面はあるのだが,そのような承認の規準は価値観より曖昧で容易に変わりやすい。 また,価値への信憑が存在しない分だけ,承認されることへの執着も大きくなる。信じるものを持たない人間は,何をすれば価値があるのか,価値のある人間として認められるのか,まったく見当のつかない状況に陥りやすい。それに,共有された価値を信じるふりは必要ないが,その分,他者の言動に同調しなければ,承認を維持することが難しくなる。その結果,承認への不安は強くなり,底なしの承認欲望から脱け出せなくなってしまうのだ。 いま多くの人々が,社会の承認という呪縛から解き放たれ,社会の抑圧を感じることもなくなっている反面,身近な人々の承認に固執し,せっかく手にしたはずの自由を自ら手放している。自由の足枷と思われた伝統的な価値観は,それが失われるや否や,強い承認不安を引き起こし,自由と引き換えにしてでも承認を得たい,そう望む人々を生み出している。 しかし,すでに私たちが自由の意識を獲得し,自由への欲望を抱く存在である以上,このようなやり方では自己不全感に陥るのは目に見えている。
- 1学校の仲間集団などにおいては,直接的に承認を求め合うことが起こりやすく,メンバー共通の価値観を信じることで,承認欲望を満たそうとする。
- 2特定の価値観を共有しない人間関係においては,承認されることへの執着が大きくなる一方で,承認の規準は曖昧で変わりやすく,承認への不安は強くなる。
- 3現在,多くの人々は,伝統的な価値観やルールの呪縛から解き放たれて自由を手に入れるために,価値観の共有よりも集団内の承認を重視している。
- 4現在の小集団では,メタレベルの価値規準によってルールが容易に変わりやすく,承認を維持することが目的化されやすくなっている。
- 5価値への信憑が存在しない人間関係においては,相手の承認を確実に得られる方法がないため,自由を引き換えにしない限り,自己不全感に陥ってしまう。
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正答は 2 です。